「ひなぎく文庫」のご紹介

(2022年7月現在)

仙台音訳の会では2008年より「ひなぎく文庫」という名称で、著作権フリーの作品を音訳しデイジー図書を製作しています。デイジー図書はプレクストークで聞くことができるCDです。現在21作品が完成しています。
ここで紹介する作品をご希望の方には、CDを郵送にて貸し出しいたします。視覚に障害がある方で、「ひなぎく文庫」をお聞きになりたい方は、仙台市視覚障害者福祉協会:電話022-213-5811へお申し込みください。
また「ひなぎく文庫」はせんだいメディアテークに寄贈していますので、そちらでも貸し出しをしています。
ひなぎく文庫を作品名、著者名、録音時間と簡単な作品の内容の順にご紹介します。

1.「あの日あの時」  竹内昌彦  8時間33分

竹内氏は1945(昭和20)年中国天津生まれ、28年網膜剥離により失明。東京教育大学卒業後、岡山県立盲学校教員となる。「障害者の立場から人権について」在職中から25年間にわたり各地で講演活動を行う。それを基にまとめた、教育者としての作者自身の人生が語られる一冊。

2.「大草原に蒔いた種」  竹内昌彦  4時間17分

「あの日あの時」の著者である竹内氏が定年退職後、盲学校の講師を続けながらモンゴルに盲学校建設を目指す。「大草原に蒔いた種」は、盲学校の寄宿舎の舎監時代、盲学校教頭時代、退職後の活動、点字ブロック石碑建立、モンゴルの学校完成の5部構成。

3.「うらら作品集」  うらら  5時間38分

作者うららは小学3年生の時のプール飛び込みのけがが原因で20歳で失明。点字日記を書くことで誰にも言えない悲しみや苦しみを乗り越える。やがて文章を書く楽しみが生まれ、作品を投稿し小説賞を受賞。本書は短編7つを収録。

4.「ベルナのしっぽ」  郡司ななえ  4時間17分

著者郡司ななえが、初めての盲導犬ベルナとの生活を描いた作品。まだ盲導犬があまり世間に知られていない時代、飼い主である著者がベルナと共に偏見を乗り越え、社会に立ち向かっていく。

5.「ガーランドの涙」  郡司ななえ  4時間12分

盲導犬ベルナは平成6年13歳で亡くなり、その3か月後に著者の夫も49歳でこの世を去る。一月後、盲導犬ガーランドが著者のもとにやってくる。やんちゃ娘で手もかかり大変な時期もあったが充実した日々。しかしそれも長くは続かず…。

6.「犬たちがくれた“ありがとう” 盲導犬ベルナの仲間たち」  郡司ななえ  5時間41分

「ベルナのしっぽ」の著者・郡司ななえが、リタイアした盲導犬と暮らすさまざまな家庭を訪ね、インタビュー取材した渾身のノンフィクション!盲導犬としての努めを終え、新たな平和の日々をすごす犬たちの姿を描く。

7.「犬と歩いて」  全日本盲導犬使用者の会  4時間34分

44人の盲導犬利用者が、人と犬の深い絆をエッセイや詩で綴った勇気と感動のノンフィクション。

8.「日本のしあわせ」  廣瀬裕子  1時間9分

著者は1965(昭和40)年東京生まれ。こころとからだ、日々の時間、食べるもの、つかうものを大切に思う気持ちを表現している。この作品は著者が京都にある一軒の旅館に泊まったことから生まれた。春の「桜」、夏の「かき氷」、秋の「虫の音」、冬の「柚子湯」など、心をやさしく癒す著者の心地よい言葉を、美しい写真が彩る。

9.「ドロップ」  廣瀬裕子  1時間4分

タイトルにある通り、ドロップの様々な色を思わせる短いエッセイ集。風の匂い、肌に触れる感触、町の雰囲気、著者が感じたその時々のあたたかい気持ちを表現。どの作品も3〜5分と短く、ティータイムやお休み前のひと時におすすめ。

10.「次郎物語(上・中・下)」 CD5枚  下村湖人

@上・9時間11分 A上・7時間57分 B中・6時間52分 C中・10時間24分 D下・12時間
著者は佐賀県生まれ(1884〜1955)。幼少期に里子に出された主人公・本田次郎の成長を、青年期にかけて描く。下村自身の里子体験が反映されるなど、自伝的色彩が濃い。児童文学として読まれることも多い。

11.「小さき者へ・生まれいずる悩み」  有島武郎  5時間44分

著者は東京生まれ(1878〜1923)。「小さき者へ」は幼くして母を亡くした子供たちへ、父の思いを綴った作品。妻を亡くし三人の幼い子供たちを抱えた有島自身の事か。
「生まれいずる悩み」は画家になりたかったが、貧しい実家を助けるため漁夫となった青年の話。厳しい漁業の仕事と、青年の絵に対する渇望を読み取ることができる作品。

12.「新美南吉童話集」  新美南吉  7時間22分

著者は1913(大正2)年愛知県半田市生まれ。小さな作品にも孤独と他者との心の交流、失われゆくもの滅びゆく者への哀惜の情が託されている。この童話集には、初期の代表作「ごんぎつね」「手袋を買いに」、亡くなる前年に書かれた「牛をつないだ椿の木」「おじいさんのランプ」「花の木村と盗人たち」等14作品が収められている。

13.「星の童話集」  宮沢賢治  1時間52分

宮沢賢治は1896(明治29)年岩手県花巻生まれ。日本の詩人、童話作家。仏教信仰と農民生活に根ざした創作を行った。作品中に登場する架空の理想郷に、郷里の岩手県をモチーフとしてイーハトーブと名付けたことで知られる。この本には星にまつわる3作品「よだかの星」「双子の星」「烏の北斗七星」が収められている。

14.「走れメロス」  太宰 治  8時間58分

著者は青森県金木村(現五所川原市)生まれ(1909〜1948)。職業作家を目指していた太宰が昭和10年〜18年頃に書いた作品を集めた作品集。代表作「走れメロス」の他に「ダスゲマイネ」「富岳百景」「女生徒」「東京百景」等9編が収められている。

15.「津軽通信」  太宰 治  8時間17分

この作品は太宰中期の安定した時期から死の間際までの短編集。分かりやすく読みやすいため太宰初心者にお薦めの一冊。「失敗園」「黄村先生言行録」「庭」「酒の追憶」等20編。

16.「晩年」  太宰 治  13時間14分

太宰23〜24歳頃に書かれた処女創作集で15の作品の総題であり、「晩年」という名の作品はない。まだ青年であった太宰は自分の生涯の唯一の遺作になるとの思いで「晩年」と名付けた。

17.「きりぎりす」  太宰 治  12時間

太宰28〜33歳頃の作品。女性言葉で書かれた「灯篭」「皮膚と心」等、「姥捨て」「佐渡」等は紀行文、「水仙」「日の出前」は本格小説と多彩な14作品が収められている。

18.「文鳥、夢十夜」  夏目漱石  11時間3分

「文鳥」夏目漱石最初の小品。1907(明治40)年に早稲田南町へ転居した漱石は、その新居で文鳥を飼うことにした。文鳥は「淡雪の精のよう」に美しく可憐で美しい女を思い出させる。冬の日の午後、文鳥は餌のなくなった籠の底で二本の足をそろえて死んでいた。「美しいものの死」を描いた作品とされる。
「夢十夜」意識の内部に深くわだかまる恐怖・不安・虚無などの感情を正面から凝視し、〈裏切られた期待〉〈人間的意志の無力感〉を無気味な雰囲気を漂わせつつ描き出した。

19.「新版 遠野物語 付 遠野物語拾遺」 柳田国男 11時間48分

かつての岩手県遠野は山にかこまれた隔絶の小天地で民間伝承の宝庫だった。柳田国男は、遠野郷に古くより伝えられる習俗や伝説、雪女・天狗・河童の話、正月行事や狼たちの生態などを丹念にまとめた。その幅広い調査は自然誌、生活誌でもあり、失われた昔の生活ぶりを今に伝える貴重な記録である。日本民俗学に多大な影響を与え、独特の文体で記録された優れた文学作品ともなっている。

20.「グッド・バイ」  太宰 治  10時間48分

被災・疎開・敗戦という未曽有の極限状況下の経験を書き残した、後期の短編集。
自らの戦争体験を描いた「薄明(はくめい)」。河北新報社発行の「東北文学」に掲載された仙台ゆかりの作品で「薄明」の続編ともいえる「たずねびと」。そのほか、「冬の花火」「眉山」「グッド・バイ」等、戦中から戦後にかけて書かれた16篇の作品が収められている。

21.「五重塔」  幸田露伴  4時間23分

明治の文豪幸田露伴の不朽の名作。人望厚い源太親方が受けた、谷中 感応寺五重塔建立の大仕事。それを「のっそり」と馬鹿にされる名人肌の大工十兵衛が横取り。棟梁となった十兵衛が五重塔を完成させるまでの様々な人々の心の葛藤、狂気が描かれています。
仙台音訳の会:録音図書係
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